「好きなことで、生きていけ」
SNSや動画でよく見るこの言葉。
──でも、本当にそれは実現できるものなのでしょうか?
夢のように聞こえるそのフレーズには、
現実的な視点と、戦略的な意味が含まれています。
この記事では、
- 「好き」とは何か?どんな種類があるのか
- どうすれば仕事や収入に結びつくのか
- 憧れの人との違いはどこにあるのか
そんな疑問に一つずつ答えながら、
「自分にとっての好きで生きるの形」を探っていきます。
目次
「好き」には3種類ある:熱/得意/社会性
「好きなことで生きる」を目指す前に、
まず大切なのは、好きという感情を分解してみることです。
なぜなら、「好き」の中身がわからないままでは、行動や進路の方向も定まりません。
① 熱(passion):やめられない感情
これは、「心が勝手に動くもの」。
好きすぎて時間を忘れる。疲れていてもやってしまう。
──そんな情熱型の好きです。
たとえば、
- イラストを描き続けてしまう
- ゲームの世界に入り込む
- 歌や踊りが止まらない
このタイプの「好き」は、エネルギーの源泉になりますが、
必ずしも他人に伝わりやすいとは限りません。
② 得意(skill):自然とできてしまうもの
「好き」と「得意」が重なることも多いですが、
ときに、自分ではそこまで情熱を感じていないけれど、周囲から褒められることがあります。
それが、得意型の好きです。
たとえば、
- 説明が上手で、人に何かを教えるのが得意
- 細かい作業に集中できる
- 文章を自然にまとめるのがうまい
これは、人から価値として認識されやすい好きとも言えます。
③ 社会性(value):誰かの役に立つ実感
「それをやると、人が喜ぶ」「感謝される」「社会に意味があると感じる」
──この感覚が伴うと、「好き」は仕事化しやすい資質へと変わります。
これが、社会性型の好きです。
たとえば、
- 手作りアクセを売ったら誰かが買ってくれた
- SNSで自分の情報発信が誰かの参考になった
- イラストが「アイコンに使わせてください」と言われた
このタイプの「好き」には、外からの評価と繋がる余地があります。
🔸3つの視点で、自分の「好き」を見直そう
| 好きの種類 | 特徴 | 仕事との繋がりやすさ |
|---|---|---|
| 熱(passion) | 自発的にやりたくなる | モチベーション源になるが、収益化には工夫が必要 |
| 得意(skill) | 周囲が認めてくれる | 他人視点で価値がわかりやすく、仕事化しやすい |
| 社会性(value) | 誰かの役に立つと実感できる | 「お金が動く現場」と繋がりやすい |
好きで生きたいなら、自分の「好き」がどこにあるのかを知ることから。
3つの視点を組み合わせて、「強くて、使える好き」を発見しましょう。
生きるには最低限の収入が必要
「好きなことをして生きていけたらいいな」
──そう思うのは自然なことです。
けれど現実には、「生きる=生活する」ためには、どうしてもお金が必要になります。
そしてそのお金は、「好き」という感情だけでは生まれてきません。
🔸好きだけでは、現実が成り立たない
たとえば──
- 毎日イラストを描いても、それだけでは収入にならない
- 作曲が趣味でも、誰かがお金を払う理由がなければ生活には繋がらない
「好き=収入」と思ってしまうと、
現実とのギャップに苦しんだり、自信をなくすことがあります。
でも、それはあなたの好きが悪いのではなく、構造の問題です。
🔸生活費という土台を無視できない
「最低限の生活費」があるからこそ、
好きに集中したり、失敗を恐れずに挑戦できるのです。
- 家賃・食費・通信費
- 医療・交通・衣類
- 予備費・自己投資(本・機材など)
これらを「最低限の土台」として把握し、
そこをどう支えるかを考えることが、
「好きで生きる」ための現実的なステップになります。
🔹生きるは「数字と計画」でもある
収入のない状態で「好きなことを仕事にしたい」と言っても、
焦りや不安が先に立って、長続きしません。
だからこそ、
- 生活費を分解して数字にしてみること
- 最低限の金額を自分で稼ぐことを目標にすること
これが、
「好きで生きる」を現実に変える第一歩になります。
「憧れの人」はどこで稼いでいるのか?
SNSやYouTubeで見かける、キラキラした成功している人たち。
「この人、好きなことだけで生きてる…!」と感じるかもしれません。
でも──その裏には、意外と冷静な収益設計が存在しています。
🔸表に見えるのは「活動」、収入は「別の場所」
たとえば、人気イラストレーターがいたとして──
- X(旧Twitter)でイラストを投稿している
- pixivやYouTubeでもファンがいる
でも、実際の収入源は…
- 書籍やグッズの販売
- 企業とのタイアップ
- スキル販売(note/講座/スタンプ)
- 有料ファンコミュニティ(月額課金)
というように、「見せている場所」と「稼いでいる場所」は違うことが多いのです。
🔸SNSのバズだけでは食べていけない
1回のバズは「話題」にはなるけれど、
継続した収入にはなりにくいというのが現実です。
多くの「好きなことで生きているように見える人」も、
- 小さな案件を積み重ねたり
- 地味な営業や連絡をしたり
- 数字と格闘したり
──そんな見えない仕事を裏でコツコツ続けているのです。
🔹収益モデルを見抜く力を持とう
「この人、好きなことで生きてるな」と思ったとき、
こんな視点で観察してみてください。
- この人は何を売ってる?(商品/サービス)
- 誰がお金を払ってる?(企業/ファン)
- どこから収入が生まれてる?(広告/販売/講座など)
この視点を持てば、
夢の中にある現実の部分を見抜けるようになります。
そしてそれは、自分の未来を設計する材料にもなるのです。
「好き」を仕事にする4つの段階
「好きなことで生きたい」と願う人にとって、
その好きをどう現実に繋げていくかは大きなテーマです。
いきなり仕事になるわけではありません。
段階を追って進めることで、無理なく確実に形にしていけます。
ここでは、「好き」を仕事にする4つの段階を紹介します。
🔸① 好きなことを続ける段階(熱)
まずは、とにかくやってみる・続けること。
この段階は「誰かに見せる」よりも「自分の熱量を確かめる」ことが目的です。
- 描くのが好きなら、毎日少しでも描く
- 話すのが好きなら、音声を録ってみる
- 書くのが好きなら、日記やSNSで書き続ける
→「熱」だけで動ける時間は貴重。
継続することで得意が生まれてきます。
🔸② 得意になって見せる段階(スキル)
好きで続けてきたことが、人に見せられるレベルになってきたら次のステップ。
- SNSで発信してみる
- ポートフォリオを作る
- コンテストに応募してみる
→ここでは「反応」が得られるようになります。
ただし、まだ収入には直結しないことも多く、
好きが評価に変わることで揺れる時期でもあります。
🔸③ 誰かの役に立つ仕事になる段階(価値)
「この人に頼みたい」「これを買いたい」と思われるようになると、
好きが価値に変わります。
- イラストの依頼を受ける
- 商品やサービスを作って販売する
- コミュニティや講座を始める
→この段階では、「自分がしたいこと」と「相手のニーズ」をどう重ねるかが鍵です。
🔸④ 安定して生きる段階(仕組み)
収入が安定し、「好きで生きる」が見えてくるのはこの段階です。
- 月額課金や商品ラインを持つ
- 複数の収入源を作る
- 働き方を仕組み化する
→ここまで来ると、「好き」+「仕組み」で継続可能になります。
ただし、この段階でも学びと改善はずっと続きます。
🔹焦らなくて大丈夫。「段階」を踏めばいい
いきなり④を目指すのではなく、
①→②→③→④と、少しずつ自分のペースで進めていくことが、
「好きなことで生きる」を崩さずに続ける最大のコツです。
「好き」を軸に残す生き方もある
「好きなことで生きるって、好きなことだけで食べていくことだよね?」
──そう思い込んで、苦しくなってしまう人がいます。
でも実際には、好きを人生の中心に置く方法はひとつじゃないのです。
🔸仕事にしないことで、守れる「好き」もある
たとえば──
- 好きな絵を描き続けるけれど、仕事にはしない
- 本業で安定収入を得ながら、休日に音楽を楽しむ
- 生活費は別で稼ぎつつ、推し活を全力で続ける
そんなふうに、「好き」を仕事と切り離して残す生き方もまた、
立派な好きで生きるのひとつです。
🔸「好き=仕事」のみに縛られないで
好きなことを仕事にできなかったら負け──そんな考え方が広まりがちな今、
自分を責めたり、焦ったりしてしまうこともあるかもしれません。
でも、本当に大切なのは、
- 「好き」を、無理なく長く続けられること
- 「好き」が、自分の生きる理由になっていること
──その軸がブレずにあるなら、すでに好きで生きていると言えるのです。
🔹「好き」は、どんな形でも人生の軸になる
- 仕事にしてもいい
- 趣味として守ってもいい
- 両立していく道を探してもいい
大切なのは、自分がどうありたいかを見つめて選ぶこと。
他人と比べず、自分に合った距離感で、
「好き」を人生の軸として持ち続けることが、
あなたらしい「好きで生きる」形なのです。
まとめ|好きで生きるは夢じゃない。
ただし、それは「設計」と「継続」の上にある。
「好きなことで生きたい」
そう思う気持ちは、決して甘えではありません。
でもそれを現実に変えていくためには、戦略と継続が必要です。
- 「好き」には種類があることを知る
- 収入や生活の土台とどう組み合わせるか考える
- 憧れの人と自分の違いを冷静に見つめる
- 段階を踏みながら、少しずつ形にしていく
- そして、「好き」を軸として守り続ける選択肢も持つ
好きなことは、人生を彩り、
ときに希望をくれ、ときに成長の原動力にもなります。
「自分にとっての好きで生きる」は、他人と同じでなくていい。
あなたの選んだ形が、あなたにとって一番大切な答えです。






